最近、銀行の倒産、頑固なインフレ、上昇する金利、一般的な株式市場の変動により、景気後退の警報が鳴り始めています。
全米ビジネス経済学会が2023年1月に行った調査によると、回答者の大多数は、2023年にアメリカが景気後退に陥る可能性があると答えています[1]。
景気後退時の投資は怖いかもしれませんが、知っていることがあれば不安になる必要はありません。
景気後退時に何に投資するかを選ぶには、まず個人の目標を考慮する必要があります。以下のいずれかを目的としていますか。
- 株式市場の変動のリスクを最小限に抑えること？
- 長期的なリターンを最大化すること？
- 固定収入源を作成すること？
- 低価格の株価（バイイング・ザ・ディップとも呼ばれます）の時に株式市場に投資すること？
これらの戦略を組み合わせたポートフォリオを構築することが理想的ですが、それらのいずれかを成功させることは、あなたの将来の財務に大きなプラスの影響を与える可能性があります。
景気後退中にあるのでしょうか？
景気後退は、国内総生産（GDP）が2つ以上の連続した四半期にわたって減少することで定義されるとよく言われています。これは、2022年上半期に見られました。
しかし、アメリカの景気後退を公式に判定する機関である全米経済研究局（NBER）は、やや広義の定義を使っています。
NBERは、「経済活動の大幅な減少が経済全体にわたって広がり、数ヶ月以上続く」ことを景気後退と定義しています。
NBERは、個人所得、雇用、産業生産などのさまざまな指標を用いて景気後退を評価しています。
現時点で、NBERは新しい景気後退の開始を発表していません。
リセッション時の投資方法
投資先には完全にレセッションに耐えうるものはないとされていますが、いくつかの投資先は、景気後退時に他のものよりも良いパフォーマンスを示す傾向があります。
これらには、ヘルスケアや消費財の株式、大型株およびインカム投資が含まれます。
ヘルスケアと消費財株式 株式市場で株式を売買する企業は、セクターに分類されます。
リセッション時には、消費者のニーズが変化するため、経済の一部門が他の部門よりも優れたパフォーマンスを発揮する傾向があります。カリフォルニア州ロスアラミトスにあるフェルナンデス・ファイナンシャル・アドバイザリーの認定ファイナンシャルプランナーであるデリア・フェルナンデスによると、ヘルスケアと消費財セクターがその例です。
「ヘルスケアと消費財のセクターは、どんな環境でも必要なものであり、景気後退環境下でもよくパフォーマンスを発揮します。」とフェルナンデス氏は述べています。
2021年に発表された「医療雇用は回復力があり、リセッションに対して強いのか？」という研究では、経済の後退にもかかわらず、医療雇用は安定した状態が続いており、健康産業がリセッションに強いことの指標となっています。
健康医療セクターには、バイオテクノロジーおよび製薬会社が含まれます。消費財セクターには、食品や飲料、家庭用品や個人用品、さらにはアルコールやタバコなどが含まれます。
これらのセクターは、リバウンドや景気回復期に見られるような、消費者向けのディスクレショナリー製品（アパレル、レストラン、高級品など、必需品ではなく「ほしいもの」）や情報技術のような急成長は見られない傾向があります。
フェルナンデス氏は、「どんな不況環境でも、私たちはしばしば消費財セクターを注視します。それらは、私たちが買う食料品やその店です」と述べています。「何があっても、トイレットペーパーは買う必要があり、やがては医者に行く必要があり、食べ物と飲み物は必要です。」
これらの株式は、「防御株」と考えられ、牛市のような好況期にはあまり魅力的ではありませんが、熊市や景気後退期には、外部環境に関係なく誰もが買う商品を販売する企業を再評価する時期かもしれないとフェルナンデス氏は指摘しています。
健全な大型株
景気後退期に個別株式への投資に興味がある場合、上記で説明したセクターのオプションを検討することができます。
しかし、それだけが基準ではありません。低い債務、収益性、強力な財務諸表、および現金フローのプラスは、すべて企業が困難な経済状況を乗り越えるのに役立ちます。
「あなたは、この低迷期を乗り切って繁栄する大企業を見つけることになるでしょう」とフェルナンデス氏は語ります。
では、どのようにしてそのような企業を見つけることができるでしょうか？無料のストックスクリーナーを使用することが最良の方法の1つです。既に証券口座を持っている場合、証券会社のウェブサイトで利用できる場合がほとんどです。
以下は、ストックスクリーナーに設定するサンプル基準です。
- 市場キャピタリゼーションを「大型キャップ」以上に設定します。大型キャップ株は、米国の最大手企業の株式であり、評価額が100億ドル以上である場合が多く、不安定時にも安定しており、倒産リスクが低い傾向にあります。
- 価格パフォーマンスを設定します。これにより、市場全体よりも良いパフォーマンスを発揮した個別株式を見つけることができます。まず、S&P 500などの広範な市場指数のパフォーマンスを特定期間で決定する必要があります。今年よりも優れたパフォーマンスを発揮した株式を見つけるには、ストックスクリーナーの価格パフォーマンスフィルターを設定し、過去1年間のS&P 500のパフォーマンスよりも高いものを表示します。
- 普通株を選択します。セキュリティタイプのフィルター設定ができる場合は、「普通株」を選択して、シンプルに保ちます。
- セクターを選択します。上記で説明した消費財必需品やヘルスケアセクター、または他のセクターを参照することができます。
配当成長がプラスの株式にフィルターをかけることもできます。
一貫して増配することは、財務的な強さや規律性、健全なバランスシート、一定のキャッシュフローの兆候であり、景気後退に耐えるのに役立つ要因です。
ただし、このフィルターを使用すると、配当株のみが選択肢になることに注意してください。しかし、困難な市場状況に耐えることができる可能性が高い、より確立された企業のいくつかを提示するはずです。
これはこれらの企業が常に景気後退に強いことを意味するわけではありません。
過去のパフォーマンスが将来の結果を保証するわけではないことを常に心に留めておいてください。ただし、これらはあなたの最終的な選択を支援する可能性のあるポイントです。
特定のセクターを追跡するファンド
上場投資信託（ETF）や低コストのインデックスファンドなどのファンドに投資することは、個々の株式に投資するよりもリスクが少ないため、景気後退時に特に魅力的かもしれません。
ファンドに投資することで、単一の投資（個別株式など）ではなく、特定の証券のバスケットに露出することができます。景気後退時には、最も強いセクターの複数の企業に投資しながら、リスクを1社に集中することを避ける方法の1つです。
ファンドの中の1社が不振だった場合、他の企業の強いパフォーマンスによって不振企業の損失を相殺することができます。
たとえば、消費財企業だけに投資したい場合、Vanguardの消費財ETFの株式や、Consumer Staples Select Sector SPDR Fundの株式を見ることができます。これらのファンドは、S&P 500が50%以上下落したグレート・リセッションの熊市からそれぞれ29%と27%下落しました。これらのファンドは、プロクター・アンド・ギャンブル、コカ・コーラ、ペプシ、コストコなどの消費財企業の保有株を含んでいます。
「ほとんどの人は株式の選別者ではありません」とフェルナンデス氏は言います。「ほとんどの人は何かのインデックスを買って、そのインデックスにその目的を果たさせることで良い結果を出すことができます」。
固定収入や配当銘柄の投資
一般的に、投資家は景気後退期には、定期的なキャッシュ支払いがある固定収入投資（例えば債券）や配当銘柄（例えば配当株）に注目します。
配当株とは、企業が利益の一部を株主全員に分配する株であり、投資家が保有する株式の数に基づいて分配されます。配当金を安定して支払い、かつ増やし続ける企業に投資することで、景気後退期においても安定したキャッシュフローが得られる場合があります。
また、定期的に高配当を支払う企業が含まれる配当ETFに投資することもできます。
これらの支払いは現金として引き出して収入として使用することができますが、メリットとして、配当は時価変動によるボラティリティを下げる要因になります。
例えば、株式市場が10%下落している場合、株式の価値が下がっている場合でも、3%の配当が支払われる株式がある場合、その配当が再投資されると、下落幅は緩和されます。
配当株や配当ETFを探す際には、収益率が最も重要な決定要因であるべきではなく、配当金の支払いや増加の一貫性を重視することが重要です。これは、企業の善良なガバナンスを示しています。
債券（および債券ファンド）も、時間的に定期的な支払いをする点で類似していますが、そのメカニズムは異なります。
米国政府または企業によって発行される債券は、基本的には貸付です。あなたは企業または政府にある特定の金額を前払いし、その金額に対して一定期間利息を受け取ることができます。
さらに、債券を満期前に売却しない場合、期間が終わったときに最初に投資した金額を取り戻すことができます。場合によっては、満期日の前に別の投資家に債券を売却することもできます。
企業債と政府債の違いについては、低リスク投資のリストで詳しく調べることができます。
何よりも落ち着く事
景気後退や変動の激しい市場は恐ろしい時期かもしれませんが、長期的な投資をする場合、最も重要なのは冷静さを保つことです。
多くの場合、最善の選択は何もしないことかもしれません。つまり、市場の回復力と、長期的なポートフォリオに組み込んだ多様性を信頼することです。
著者は、掲載時点で上記の投資に関するポジションを保有していません。