「鼻うがいをしているけれど、どうしても水が口から出せない」
「口から出そうとすると、耳に水が入ったりむせたりして怖い……」
そんな悩みをお持ちではありませんか?
実は、鼻うがいは「鼻から入れて鼻から出す」だけでは、一番洗いたい「上咽頭(喉の奥)」の汚れまで落としきれません。
あの独特の不快感や、喉にへばりつく後鼻漏をスッキリさせるには、水が「鼻から口へ」抜けるルートを通す必要があります。
口から水を出すために必要なのは、根性でも慣れでもありません。
たった一つ、「顎(あご)の位置」を変えるだけです。
本記事では、水圧の強い「サイナス・リンス」を愛用する筆者が発見した、誰でも驚くほど簡単に水が口から出る「顎出しスタイル」を解説します。
今日からあなたの鼻うがいは、劇的にスッキリしたものに変わります。
なぜ「口から」出す必要があるのか?鼻うがいの効果を最大化する理由
多くの人が鼻うがいに挑戦する際、最初は「鼻から入れて、反対の鼻から出す」ことだけを目指します。
もちろんこれでも副鼻腔(頬や額の空洞)の入り口付近は洗浄できますが、プロレベルの洗浄効果を求めるなら「口から出す」ことは避けて通れません。
鼻うがいには大きく分けて2つの洗浄ルートがあります。
- 鼻から鼻へ(Eコース):鼻腔内の花粉やホコリを洗うのがメイン。初心者向け。
- 鼻から口へ(Bコース):鼻の奥にある「上咽頭(じょういんとう)」を洗い流す。上級者・喉ケア向け。

この「上咽頭」という場所は、いわゆる「のどちんこの裏側」にあたります。ここは免疫の最前線であり、風邪のひき始めにウイルスが付着したり、慢性的な炎症(慢性上咽頭炎)が起きやすい場所です。
「鼻から鼻」の洗浄では、水流がUターンしてしまうため、この一番奥の壁(上咽頭)まで十分に水が届きません。
水を口から出すルートを通すことで初めて、上咽頭を丸洗いし、ネバつく痰やウイルスを物理的に洗い流すことができるのです。
「スッキリ感が全然違う」と言われる理由はここにあります。
【結論】口から出す最大のコツは「顎を突き出す」こと
では、どうすれば苦しくなく口から水を出せるのでしょうか。結論から言います。
お辞儀の姿勢から、「顎(あご)」を前に突き出してください。
多くのハウツー記事や説明書では「前かがみになって(お辞儀をして)」と書かれています。
しかし、素直に「綺麗なお辞儀」をして顎を引いてしまうと、解剖学的に喉の奥が狭くなり、水が口の方へ流れにくくなります。
- 顎を引く(通常のお辞儀):水は重力に従って、すぐ近くの「反対の鼻の穴」から出ようとします。
- 顎を出す(顔を正面・上に向ける):喉の奥(軟口蓋)が開きやすくなり、水が自然と口の方へ流れ込みます。

筆者の経験上、「顔を正面に向けた状態のお辞儀姿勢」を取ると、驚くほどスムーズに口から出ます。
もっと極端に言えば、直立姿勢で顎を引かずにそのまま鼻うがいをしても、口から出やすいです。
ただし、この「直立顎出しスタイル」には一つ大きな欠点があります。
性質上、顎先から大量に水が滴るため、上半身裸か、入浴時に行わないとビシャビシャになります。
この方法は確かに効果てきめんですが、洗面所で行う場合は「顎出し+前かがみ」で、水がシンクに落ちるように調整するのがベストです。
実践!サイナス・リンスを使った「上咽頭洗浄」完全ステップ
ここからは、実際に道具を使って「口から出す鼻うがい」の手順を解説します。
使用するアイテムとして、筆者は「サイナス・リンス(NeilMed)」を強く推奨します。
ステップ1:準備するもの(水圧が命)
- サイナス・リンス(ボトルタイプ):アメリカ発のこの製品は、ボトルを握る強さで水圧を自在にコントロールできます。国産の重力式(傾けるだけのタイプ)だと水圧が弱すぎて、喉の奥まで押し流せないことが多いです。
- 洗浄液:36〜38℃程度の人肌のぬるま湯を用意します。必ず「煮沸して冷ました水」か「精製水」を使用し、付属の粉末(生理食塩水の素)を溶かしてください。真水は激痛が走るので絶対NGです。
ステップ2:姿勢の作り方
- 洗面所の前に立ちます。
- 軽く前かがみになります(シンクに顔を近づける)。
- ここで顎をグイッと前に突き出します。 鏡の中の自分と目が合うような角度です。
- 口は半開きにします。
ステップ3:水の流し方と呼吸
- ボトルのノズルを片方の鼻の穴に隙間なく密着させます。
- 「アーーーー」と声を出しながら、ボトルの腹を強めに握り、水を噴射します。
※「アー」と声を出すことで、鼻と喉の間にある弁(軟口蓋)が持ち上がり、水が気管(肺)に入るのを防いでくれます。 - 水の勢いを強めるのがポイントです。「鼻から口」を通すには、ある程度の勢いで水を喉の奥へ送り込む必要があります。
- 喉の奥に水が溜まる感覚がしたら、そのまま口からダラーッと垂れ流します。
成功すれば、鼻の奥の汚れが口からドバッと出てくる爽快感を味わえるはずです。
それでも出ない?よくある失敗原因と対処法
「顎を出しても上手くいかない」という場合に考えられる原因と対処法です。
1. 水圧が弱すぎて届いていない
恐怖心からボトルを握る手が弱くなっていませんか?
ちょろちょろとした水流では、上咽頭の壁を超えて口まで到達しません。
サイナス・リンスの強みである「ダイナミックな水流」を信じて、一気にギュッと握ってみてください。
痛みがない生理食塩水なら、勢いよく入れてもツーンとしません。
2. 鼻詰まりが重度である
鼻が完全に詰まっている状態で無理やり水を流し込むと、行き場を失った水が耳管(耳へのトンネル)に流れ込み、中耳炎になるリスクがあります。
鼻詰まりがひどい場合は、まず点鼻薬などで通りを良くしてから行うか、無理に口から出そうとせず「鼻から鼻」の洗浄に留めてください。
3. 最後の手段:水を「吸う」
どうしても水が喉に落ちてこない場合、最終手段があります。
鼻水を啜って痰を出す要領で水を吸うと口から出ますが、これは嗚咽するので注意してください。
水を注入しながら、鼻の奥で「ズズッ」と吸い込む動作をします。
こうすると陰圧がかかり強制的に水が喉へ引き込まれます。
ただし、これは非常に刺激が強く、慣れていないと激しくむせたり(嗚咽)、耳に圧がかかったりするため、あくまで上級者向けのテクニックとして認識してください。
【重要】中耳炎を防ぐために!絶対守るべき3つのルール
鼻うがいは素晴らしい健康法ですが、やり方を間違えると「中耳炎」という痛い代償を払うことになります。
口から出す(Bスポット洗浄)を行う際は、以下のルールを厳守してください。
1. 鼻うがい中に「つば」や「水」を飲み込まない
これが最も危険です。水を流している最中にゴックンと飲み込む動作をすると、耳管が開き、汚れた洗浄液が耳の奥へ侵入します。
常に口を開け、「アー」と声を出し続けることで飲み込みを防いでください。
2. 終わった直後に鼻を強くかまない
洗浄直後は鼻の中に水が残っています。この状態で強く鼻をかむと、水が耳に送られてしまいます。
ティッシュを添えて優しく水を出し、片方ずつゆっくりと空気を出すようにしてください。
3. 前屈して残った水を出し切る
洗浄後、深くお辞儀をして頭を振り、副鼻腔内に溜まった水を出し切ってください。
これを怠ると、後でふとした拍子に熱い水が鼻から垂れてくることになります。
まとめ|顎出しスタイルで上咽頭までスッキリ洗い流そう
鼻うがいで口から水を出すための最大のコツは、「顎を前に突き出すこと」と「十分な水圧」です。
- サイナス・リンスのような加圧式ボトルを使う。
- 顎を突き出し、顔を正面に向ける。
- 「アー」と声を出しながら、強めの水圧で洗い流す。
この3点を意識すれば、誰でも自宅で簡単に「上咽頭洗浄」が可能になります。
最初は洗面所が水浸しになるかもしれませんが、お風呂場で練習すれば問題ありません。
喉の奥の違和感が取れた時の爽快感は、一度味わうと病みつきになります。
ぜひ今夜の入浴時に、「顎出しスタイル」を試してみてください。
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