DC 映画

「スーパーマン」(2025)レビュー|コミック感&主役の化学反応が光る再起動作

私は新作映画を観るとき、できるだけ事前情報を避けてフラットな気持ちで鑑賞するようにしています。

他人の意見に左右されたくないからです。

ですが、今回のジェームズ・ガン監督の新作『スーパーマン』(2025)については、それがほぼ不可能でした。

公開前からSNS上ではファンの絶賛が飛び交い、Rotten Tomatoesでは視聴者スコアが驚異の93%前後。評論家スコアも83%前後と高く、多くのレビューが「明るく希望に満ちたDCの再出発」と称賛しています。

興味深いのは、高スコアの裏に「平凡」「やや過剰」という声もあることです。

実は「高評価に見えて意外と賛否が分かれている」構図なのです。

平凡でも「コミック感」全開!素直に楽しめる作品

多くの批評家が口を揃えたのは、「まるで活きたコミックのようだ」という表現でした。

原作の明るさとワクワク感を大切にしており、気軽に楽しむ夏の一作としての魅力は確かです。

特に人を助けるシーンは古き良きスーパーマンを彷彿とさせる描写として際立っています。

ただし、スーパーマンが強く見えない点が多々あります。

冒頭で「3時間前に初めて敗北した」と説明されますが、その後の彼の活躍を見る限り、常に劣勢で、他のヒーローや愛犬の助けなしでは勝てない描写ばかりでした。

これは成長途中のオリジン映画なら許容できますが、既に熟練したヒーローとして描かれているはずの今作では説得力に欠けます。

主役キャストの好演

主演のデヴィッド・コレンスウェットとレイチェル・ブロスナハンは、キャラクターをうまく演じきりました。

多くの視聴者が「二人の演じるケミストリーが炸裂している」「感情の繋がりが本当に伝わってくる」という肯定的な評価が多数でした。

弱点だった原作のシビアな描写を、自然な情感で補っている点は間違いなく本作の美点です。

ヴィランであるレックス・ルーサーを演じたニコラス・ホルトの演技も非常に良かったです。

ただし、本来は天才的なヴィランであるべきルーサーが、ただの幼稚なIT社長のように描かれているのは脚本の問題でしょう。

ジェームズ・ガン流「明るさとユーモア」の融合

評論の多くで見られるのは、「ガンらしい新鮮なユーモア」「トーンの明快さ」に触れています。

「やや展開が散漫」との声も見られます。

新しいDCユニバースの幕開けということで、スーパーマンと主要キャラに焦点が当たることを期待していました。

ところが実際には、グリーンランタンやホークガール、ミスター・テリフィック、メタモルフォなど多数の新キャラが登場し、物語が散漫に感じられました。

それでもスーパーマン本来の「楽しさや活力、情緒溢れる描写」がそれを補い、一定以上の満足感を与えています。

スーパーマンの存在感が希薄

アクションシーンは、スーパーマンではなくミスター・テリフィックやグリーンランタンの活躍が目立ちます。

とくにミスター・テリフィックが軽快な音楽に乗せて敵を倒すシーンは、演出も洗練されており本作の中でも最も印象に残る場面です。

結果として、スーパーマン自身があまりにも脇役に見えてしまう構成には疑問が残ります。

DCに希望あり

本作の明確な強みは、主要キャストの好演です。

コレンスウェットの誠実で優しいスーパーマン像は、リーヴ時代の精神性を受け継ぎながら現代風にアップデートされており、ロイス役のレイチェル・ブロスナハンとのコンビネーションも絶妙でした。

複数の批評家がこのコンビの相性を称賛しているのも納得です。

また、スーパーマンが地球に送られた真の理由を掘り下げる感情的な成長は丁寧に描かれており、ラストの展開には心動かされるものがありました。

作品全体として破綻せずまとまっています。過去のDC作品よりもはるかにマシです。

ミリー・アルコック演じるスーパーガールのカメオ出演は印象的で、次回作に期待を持たせるものでした。

今後の展開次第で、DCユニバースにもう一度期待出来るかもしれません。

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生活マン

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